2026年6月29日 映画『ターミナル』を観る

 この映画を観るのは何度目だろうか。学生時代に父と二人で観て、私は深く感銘を受けた事を覚えている。
 さっそく映画の最序盤に感じた「不気味さ」について語らせてほしい。本作の主人公、トム・ハンクス演じるナボルスキー氏が、アメリカの空港にて諸事情あって立ち往生をしてしまう。空港の利用客もスタッフも、誰も彼を助けてくれない。

 ああ、学生時代のトラウマが蘇るね。いや、そんな事はどうでも良くて。

 空港という牢獄の中に置き去りにされた様な状態の主人公の境遇そのものが、とても不気味に想えたのだ。言うなれば「法の中の無法に閉じ込められている」という絶対的な孤独感。映画を観た事がある人なら解るかも知れないが、映画には観ている人間を引きずり込む魔性の魅力がある。つまり、観ている私自身も「もしも自分がナボルスキー氏と同じ立場だったら?」と恐れる必要の無い、でも怖い、という状態に陥った。

 ……いや、厳密には、ナボルスキー氏が体験した内容の一部だけ、私も那覇空港で体験した事がある。だが、まあ、それは今回は関係ないので語るまい。

 空港は空の旅と次の目的地が繋がる、ある種の高揚感をもたらしてくれる。ところが、空港で次の移動ができなくなる瞬間、空港は急に寂しい場所、不安な場所になる。ナボルスキー氏もそういう気持ちだったのだろうか。だが、彼の熱いところは、誠実さと人情に篤い点だ。空港内でできる限りのことをして、徐々に人々と打ち解け合う姿は「これぞトム・ハンクス主演作品。泣かせるねぇ」と唸らずにはいられない。かなり私の私的な視点から見て思った事が、この映画の恋愛描写、いるか? と記憶を振り返りながら考える。いや、映画評論家でもない私の意見だ、気にしないでくれ。たぶん、あの作品に於いての恋愛描写は、主人公の最も傍にいる「理解者」を作るためだったのかな、とこの記事を書きながら気づいた。だとしたら脚本家も上手い事やりましたね。空港に閉じ込められながらラヴまで描写しちゃうなんて。

 ちなみに私が一番好きなシーンは「お薬」です。このシーンで完全にナボルスキー氏に惚れた。法がどの様な壁を作っても、人々がどの様な秩序を求めても、最後に人の心を動かす物は人の心に他ならない。斯様に熱く信じさせてもらえた。
 これだからトム・ハンクス主演作品はやめられない。
 皆さんも良き映画鑑賞を!

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